食物アレルギー

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食物アレルギー診断のゴールドスタンダードは経口負荷試験

「アトピーの皮疹からアレルゲンが入って、血中のIgE抗体を上げ、その結果食物アレルギーが起こって食べられなくなるから、ステロイドを塗ってきれいにしましょう」というフレーズを、あとぴっこを持たれたご両親は、耳にタコができるぐらい聞かされたことでしょう。

つい最近まで「アトピーを治すために、ステロイドを塗りましょう」と説明がされていたのですが、皮膚科学会ガイドラインに「アトピーを治す薬は無い」とはっきり書いているために、これが使えなくなったんですね。今は、「茶の雫事件」以後、皮膚感作が言われています。

佐藤小児科から約30分、車を走らせると近畿大学付属病院があります。ここの小児科は、勿論ステロイド治療をしていますが、ここに食物アレルギーをされている先生がおられます。 2015年「診療ご案内」という冊子が送られてきました。 その中の「トピックス」の一部を紹介します。

多様な食物アレルギーと経口免疫療法について

・小児科 医学部講師 竹村 豊
当科では、食物アレルギー診断のゴールドスタンダードである経口負荷試験を率先して実施しています。しかし、陽性率は、20%程度であり、未だに食物特異的IgE抗体のみを根拠とした食物除去が多いというのが現状です。一方、アドレナリンを使用する患児は2%程度みられ、重症ハイリスク患児が存在することも事実です。自然耐性獲得が困難と判断された場合には、緩徐経口免疫療法を行っています。」

と書かれています。

たとえIgE抗体が陽性であっても、食べて反応が無い方がかなり多数いるということを言っています。要するに、経皮感作があっても食べることができる人が多数だということです。
20%の中に入ってないのに、入るかもしれないとステロイドを塗るように言われるのは、80%の人たちにとって承服できかねることだと思います。

また、紹介されて近大を受診する患者の多数は、ステロイドを使っている患者だと思います。使っていても、皮膚感作が起こっているということになります。

アトピーの一切無い子でもたまごアレルギーでじんましんが出た子が当診療所でも数人おり、何も皮膚疾患が無くても皮膚感作が起こるということです。

佐藤小児科では、優先して食べるように指導しています。じんましん位なら、ごく少量から始めるようにしています。
今まで、じんましんが出たたまごアレルギーのあとぴっこでは3カ月から6カ月の経過で、マヨネーズまで食べることができています。
また、保育所時代に、お皿等すべてを持参しておられた方も、最後残っていた小麦も(うどん0.5cmでもじんましんと咳が出た子どもでしたが)卒業しました。
除去しなくていいということはとても楽だとおっしゃっていました。

食物アレルギーがあるかは、食べてみないとわかりません。たとえIgE抗体が100以上でもです。最近は、除去するよりも、早く食べたほうがアレルギーが起こりにくいというデータが、ピーナツアレルギーに関する論文で報告されました。心配なら、ごく少量を食べさせてゆっくり増やすという方法をお勧めします。頑張って食べさせてほしいなと思います。

最後に、アレルギー検査はアトピーの原因でもないし、アレルギー反応が起こるかは食べてみないと分からないので、血液検査はしない様に。悩みの種を作り、医療費がかかるということになります。

そうそう、大阪府内の他市に引っ越したあとぴっこ。予防接種に行くと、そこの先生から「経皮感作」の話が出たそうです。母親が「先生、この子、全部食べています」と言うと、それ以降一切言わなくなったという話を聞きました。