小児科の先生方へ堺市保健所の方々へ

今般、諸般の事情により、2022年12月末で佐藤小児科は閉院します。
今まで先生方や保健所の方々に格段のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。

さて、先生方や保健所の方々もご存じのように、開院以来佐藤小児科では赤ちゃん・子どものアトピーにステロイドを使わない治療をしてきました。
その理由の第1は、使わなくても1~2歳にはほぼ治ってしまうことです。https://www.sato-shonika.com/paper を参照ください。2才未満では使わなければ6か月後治癒が24%でした。
第2の理由が、成人してからの脱ステロイドは人生を変えてしまうぐらい大変だという事です。止めたくても止められない薬をできるだけ子どもには使いたくないと思っています。

昨年9月、イギリス政府公式サイトで、ステロイドに対する勧告がなされました。次をご覧ください。
GOV.UK
Medicines and Healthcare products Regulatory Agency
Published:15 September 2021

https://www.gov.uk/government/news/long-term-continual-use-of-topical-steroids-linked-to-skin-withdrawal-side-effects?fbclid=IwAR2I-RL9mYpxOOuhIAcomAGt6mgT-xd2n6-hbF4EYkTVR9czY3zi2YyqPiw
には、いわゆるステロイド離脱時のリバウンドについて、
Patients using topical corticosteroid creams to treat conditions such as eczema or psoriasis are reminded to do so in accordance with advice from their healthcare professional, after a national review found that people using topical steroid for long-periods of time can suffer severe skin withdrawal symptoms.と述べ、一度離脱症状を起こした患者が再度使用する場合は専門家に相談するようにと勧告しています。症状についても、
Patients can experience topical steroid withdrawal reactions after using these products at least daily for long periods of time. It is not unusual for skin conditions to flare up or return shortly after stopping topical corticosteroids. However, very infrequently, a severe type of topical steroid withdrawal reaction can occur, which may also be known as red skin syndrome or topical steroid addiction.と述べ、多くはないが非常に重症の離脱症状が起こりうると書かれました。更に症状についても詳細に述べられています。
Signs of severe topical steroid withdrawal reactions include redness of the skin which can be a spectrum of pink to purple, or as darkening of the normal skin tone, depending on the skin tone of the individual. Other signs include burning or stinging, intense itching, peeling of the skin, or oozing open sores. These signs may occur days or weeks after stopping treatment and are known to occur after as little as 2 months of continuous treatment in children.子どもではたったの2か月の連続使用でも起こりうると書かれました。
医療専門家は次の事をしないといけないとも書かれています。
• prescribe the lowest potency of topical corticosteroid needed to effectively treat the skin disorder
• consider reducing the strength or frequency of application gradually if topical corticosteroids have been used for a prolonged time
• make sure patients know how to use it safely and effectively, especially on sensitive areas
• report all suspected adverse drug reactions to the Yellow Card scheme, including after discontinuation of topical corticosteroids

ここで述べられていることは、脱ステロイドでの悪化=リバウンドは、ステロイド離脱時の副作用だという事です。そのためには、高ランクのステロイドではなく最もランクの低いステロイドが使われるべきだとし、更に長期にわたって使用されている場合は、ランクを下げることや塗る頻度を減らすことを勧めています。こういう勧告がなされ、ランクの低いステロイドになり長期の使用が減るなら、恐らくステロイド離脱症候群に陥る患者は減ると考えられます。
翻って、日本ではどうでしょうか?高ランクのステロイドが多年にわたって使われる傾向があります。また、脱ステロイド時の悪化はアトピーの悪化であり、塗らない患者や当院のような治療をしている病院が悪いという考え方が主流のように思われます。しかし、米英でステロイド離脱症候群が認知されてきている状況の下では、日本でも使いたくないという患者の希望に答える治療を医療側が提供すべき時期に来ているのではないかと考えています。

さらに、緊急避難的にステロイド外用が必要な事態はあり得るので(特に母乳栄養児)、その際の使用についてはやぶさかではないですが、緊急性が無くなれば、ステロイド離脱症候群を起こす確率を下げるために減量中止することが必要だと思います。

先生方や保健所の方々には今後もアトピーの子どもたちがお世話になると思いますが、ステロイドを使いたくないと言われるご家族の話に耳を傾けていただき、援助をしていただければと願っております。

小児科医として、子どもが将来の人生を健康に生きること、アトピーで出来ないとあきらめることのないように支援してきたつもりです。今後もアトピーにかかわっていきたいと考えています。

2022年11月吉日
〒599-8261
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佐藤小児科 佐藤美津子
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